コロナを機に日本の生活保障を見直すべきだ!

大スケです。

koumuin-sisanka.hatenablog.jp

 

ケースワーカーとして、日本の生活保障制度の課題・対策について真剣に考えてみました。

 

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新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として実施された休業、外出自粛の要請が、戦後最悪とも言われる経済悪化を招いていることは周知の事実です。今後も経済情勢の悪化は深刻化し、多くの人が未曽有の困難に直面することが予想されます。

 

コロナ対策の実効性を確保するためには、感染リスクを承知で働き続けざるを得ない立場の人に対して、安心して自宅待機ができるだけの生活保障を行い、行動変容を促していくことです!

 

しかし、実際は生活や事業を維持するための補償がほとんど機能していません。

このような状況で外出・業務の自粛要請だけを続ければ、短期間で大量の人たちが失業・廃業に追い込まれて生活基盤を失うのは火を見るより明らかです。

 

自粛要請がかえって人々の尊厳と地域経済を破壊し、取り返しのつかない被害を日本社会にもたらすのではないかと思えてならないです。

 単に「3密を避け、ステイホーム!」と呼びかければ、人々の行動変容が起こり、コロナ対策の実効性を確保できるという楽観視はやめるべきです。

 

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生活や事業を維持するための代表的な補償として、次の生活保障制度があります。

①休業補償(雇用調整助成金、休業手当等)

②資金支援(緊急小口資金、総合支援資金等)

生活保護

これらの生活保障制度は、今回のコロナ渦において利用者が急増しました。

 

しかし、これらの生活保障制度が十分に機能するのは、あくまで平常時だけです!

迅速性が求められる緊急事態への保障としては、物足りなさを感じます。

 

具体的に次の3つの課題があると考えてます。

1.休業補償(雇用調整助成金、休業手当等)の多くが、本人ではなく事業主が行う仕組みになっていること

雇用主と労働者には暗黙の力関係があります。人員不足で仕事も忙しい中で、煩雑な手続きを嫌う雇用主に対して、申請を働きかける労働者はどれだけいるのか。この制度は、事業者が申請を渋る可能性を排除できていない事実が、コロナ渦で浮き彫りになったと言えます。

 

2.資金支援(緊急小口資金、総合支援資金等)の多くが、給付ではなく貸付であること

この制度は僕がケースワーカー時代によく利用しました。保護申請から保護決定までの間(1カ月)の生活を繋ぐ支援として有効的でした。あくまで貸付期間が明確で短期間であったからこそ利用できた制度です。

しかし、今回のコロナ危機は収束の見通しが立たない状況であるため、生活再建の目途がはっきりしない中で、新しい借金を抱えることを避ける人が多いと思います。

また、この制度では、収入減少に伴う免除規定があるものの、所得の減少の基準も明確ではなく、償還が免除されるという確約もないため、将来の生活圧迫を考えれば、気軽に利用できるものではないです。

 

3.手続きに必要な書類が煩雑で、申請から決定するまでに最低1カ月以上を要すること

生活保障制度の利用にあたって、不正利用の防止、公平性の確保、第3者への説明責任を果たすために慎重かつ厳格な審査手続きは必須です。

僕もケースワーカー時代は、「不正受給の防止・一般世帯との均衡」を念頭に調査を行っていたため、決定までに1カ月を要していました。

しかし、これらの手法はあくまで平常時を想定したものです。

緊急時においては、迅速かつ適切な手続きが求められるのです。

 

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では、どうすればよいのか?

緊急時を想定した制度の仕組みを見直すことです。

1.休業補償の申請を個人で行うことができるようにする。(緊急時のみ)

2.資金支援の形態を「貸付型」から「給付型」にする。(緊急時のみ)

3.オンラインの活用等により、手続きの簡略化や見直しを行う。(緊急時のみ)

 

 

これから第2波が来ることを覚悟しなくてはなりません。

そんな中で何の対策もしないで、感染リスクより自身の生活維持を優先しようとする人を責めることはできますか?

自宅待機をしても当面は生活の心配をする必要のない生活保障が必要なのです!

なぜなら、生活保障を目的とした財政政策は、経済活動や市民生活の維持だけではなく、感染症対策として一人ひとりの行動変容(自宅待機)を促す重要な役割があるからです。