リモートワークの普及で都心の賃貸需要はどうなる?

緊急事態宣言の解除から約1か月。


『リモートワークなどの働き方改革が進めば、都心から人口が流出して、賃貸需要が減少してしまうのではないか?』

 

賃貸経営をすでに行っている方はもちろん、これから始める方にとっても、気になる点である思います。

結論から言うと、「リモートワークなどの普及で都心からの人口流出は起こらないため、賃貸需要の減少に影響はほとんどない!」と僕は考えてます。
本記事では2つの理由について解説したいと思います。

 

目次

生活に便利な都心の賃貸需要が落ち込むことは考えにくい

以下の内容は、アパート・マンションの管理実績が豊富で、内藤忍さん(※1)をはじめ多くの有名投資家が絶大な信頼を置いている㈱日本財託(※2)の調査情報を参考にしています。

 

㈱日本財託では、管理物件の4月の入居率は99.46%、5月の入居率も99.01%で、いずれも99%以上の入居率を維持しています。


なぜ、このような結果に?・・・
簡単にまとめると、
・4月16日以降に緊急事態宣言が全国に拡大されたため、5月になって移動の自粛がさらに強くなり、解約件数が減少した。
・さらに、他の道府県からの東京への流入数も前年に比べると少なくなり、成約件数もやや減少した。
・そのため、5月は成約件数が減少したが、そもそもの解約件数も同じように減少したため、入居率は昨年とほぼ同じ水準で推移している。

ということです。

 

また、4月、5月の特徴として、申し込み後のキャンセルの増加があります。
新入社員の配属の遅れや人事異動の延期などで、すぐに引っ越す必要がなくなった人が増加したことが要因だと考えられます。
そして、緊急事態宣言が解除された6月に入ってから、配属や異動が延期されていた人たちのお部屋探しが一気にスタートしたため、申込数と解約数は昨年を1割ほど上回るペースで推移している状況です。

 

その中で、リモートワークやオンライン会議といった新しい働き方が賃貸市況に影響を与えたかというと、『ほとんど影響はない』と言えます。


たしかに、実家に戻るケースや自宅で仕事をしやすくするためにより広いお部屋へ住み替える動きが一部で出ていますが、地方や郊外への住み替えが進んでいるような動きはありません。


先月、学生の就職支援を行う株式会社学情が20代の転職希望者へ行った調査では、今回のコロナ禍でリモートワークを実施した人の約7割が「通勤時間を短くしたい」と回答しました。


リモートワークによって、通勤時間が短縮し、自由に使える時間が増えたことで、今後も終業後の時間を有効活用できるようにしたいと考える人が多いと推測されています。


つまり、リモートワークの実施は、多くのビジネスマンにとって「職住近接」の魅力を高める契機になったのです。


よって、生活に便利な都心の賃貸需要が落ち込むことは考えにくいと言えます。

(※1)

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(※2)

 

リモートワークの普及が企業の成長を停滞させる

新型コロナウイルスの感染拡大を契機としたリモートワークの普及により、多くの企業でミーティングだけではなく商談やセミナーなどでもZoom等の動画コミニケーションツールが使われ始め、物理的に対面しなくても問題がないことが認識され始めました。


中には、社員全員をリモートワークにシフトして、オフィスを縮小すると宣言する経営者もいるようです。


たしかに、やることが決まっている定型的な仕事に関しては、通信環境やパソコンなどのインフラが整備されていれば、リモートワークの方が効率的と言えます。
しかし、リモートワークで仕事を続けていて、そこから新しいビジネスは生まれてくるのでしょうか。


グローバル化の進んだ変化の激しい現代社会において、企業の成長は必要不可欠です。成長には、今までに無かったビジネスアイディアからチャンスを見つけ、それを収益に結びつけることが求められます。


新たなビジネスチャンスを事業化するには、クリエイティブな発想がぶつかり合うリアルな対話が必要です。
例えば、オンライン会議では、会議が終わった瞬間に参加者が退出してしまうため、リアルな対話を行う機会が生まれにくいのです。


「何となく集まって雑談をする」、「異なる部署の人とランチをする」、「趣味やプライベートの話で盛り上がる」。このような一見非生産的な時間から思いがけないアイディアが浮かび、それが新しいビジネスに繋がる可能性もあるのです。


リモートワークで効率性だけを追求すると、結果的に成長する機会を失い、多くの商品、サービスが陳腐化してしまうことになりかねません。


もちろん、リモートワークに向いた仕事と向かない仕事がありますから、それを上手に使い分けることが非常に大切です。


よって、リモートワークの普及は限定的になると思われるため、それを理由に都心からの人口流出、賃貸需要の減少が起こることは考えにくいと言えます。