「敷金」の落とし穴!知っておかないと大損!

入居者:「敷金を高額なリフォーム費用に充てられたため、退去時に返還されなかった」

 

 大家:「敷金を巡るトラブルが原因で、すぐに原状回復工事に着手することができなかった。その間、次の入居者が決まらなかったため、家賃収入が途絶えた」

 

 

このような敷金を巡るトラブルは非常に多く、賃貸住宅の入居者だけではなく、不動産投資家である大家の経済的側面に大きな影響を及ぼすのです。

実際、僕も過去に同じ経験があります。

 

 

敷金の精算は長年、ブラックボックスに包まれていました。

そのため、敷金は悪徳不動産業者による都合のいい解釈により、彼らの儲けのネタとして利用されてきたのです。

 

その結果、善良な入居者や大家が不利益を被ってしまうケースが非常に多かったのです。

 

そこで、今回は敷金の取扱いにおける重要なポイントについて解説したいと思います。

 

この記事を読んでいただければ、入居者にとっては敷金の精算時に悪徳不動産業者のカモにされることはなくななり、大家にとっては敷金を巡る揉め事をなくして家賃収入の損失を最小限にすることができます。

①敷金で儲けを企む悪徳不動産業者について

あなたはアパートを退去するとき、不動産業者から高額なリフォーム代金を請求されたことありますか?

僕の場合、家賃3か月分の代金を請求されそうになったことがあります。

 

その時は①仕事柄、法律関係の業務に携わっていたこと、②不動産投資に取り組んでいたため、それなりに勉強をしていたことが奏功し、請求金額がぼったくり価格であるとすぐに分かりました。

 

例えば、クロスの張替えなどは、1㎡あたり1000円程度もあれば張り替えられて

しまいますが、僕の場合は1㎡あたり3000円も請求されそうになったのです。

 

しかも、原状回復工事は不動産業者指定の施工業者で対応しなければならないことになっていました。

僕のお金で原状回復工事をするのに、施工業者を管理業者に指定されるのです・・・。

 

さすがに見積価格が高すぎるので、僕は過剰請求であることを訴えたうえで、クロスの張替えであれば、知人で安くやってくれる業者に頼むことを伝えました。

 

しかし、不動産業者は「契約書に指定の業者で行う」と書いてあるとの一点張りで、何度交渉しても平行線のままでした。

当然、敷金は向こう側に手にありますから、こちらが根負けして納得するのを待つのが、彼らの常套手段だったのでしょう。

 

そこで、僕は法的措置によって解決することを不動産業者に提案しました。

 

すると!!!

その不動産業者は、あっさりと見積価格を半分にしてきました・・笑

 

あの見積価格はいったい何だったのでしょう。

 

また、このような訳の分からない請求は、入居者に限ったことではありません。退去の際に大家にも必要以上のリフォーム工事を提案してくる業者もいます。

 

例えば、

・IHクッキングヒーターにしないと、次の入居者を決められないので、キッチンごと入れ替えちゃいましょう。

・3点式ユニットバスではこの先の入居付は厳しいので、この機会にトイレとバスをセパレートにする工事をしましょう。

 

このように原状回復工事に便乗して、家賃の1年以上もかかる高額なリフォームを提案してくることもあります。

 

もちろん、近隣の賃貸住宅を踏まえて室内をグレードアップすれば入居者が付きやすくなることもあると思います。

しかし、大抵の不動産業者は、大家の採算まで考えてリフォームを提案してくることはほとんどないので、少しでも違和感を感じたら、言われるがままに進めるのはやめて、一旦通常とおりのリフォームだけに留めておくのが賢明です。

 

とはいっても・・・

不動産業者の言うことを聞かないと、次の入居者を真面目に決めてくれないのではないか、と心配してしまいますよね。

 

だけど、近隣の家賃相場を見て、現在の設備と家賃とのバランスが取れているのであれば、過度なグレードアップをしなくても、優秀な管理業者であれば、迅速に入居者を決めることはできるのです。

ちなみに、管理業務の実績が豊富で、僕が一番信頼している日本財託の入居者募集は目から鱗です。

 

②敷金の取り扱いについて

そもそも敷金とは、契約期間中に家賃の滞納があった場合や部屋を損傷させたときの修理代の担保として先に預けておく金銭です。

 

今までこの取り扱いが法的に非常に曖昧だったおかげで、上記のように高額なリフォーム代を請求されたり、敷金が返還されないといったトラブルが多発していました。

 

そこで、2020年4月の民法改正で、敷金は家賃未払い等の担保であることが、明文化されることになったのです。これは重要です。

※過去記事

koumuin-sisanka.hatenablog.jp

例えば、壁のクロスも経年劣化による黄ばみ程度なら、退去時に敷金は全額返還しなければなりません。

当然、不動産業者はその敷金を使ってリフォームで儲けてやろうということはあってはならないのです。

なので、最近は敷金ゼロで募集をするところが増えてきたように感じます。

 

なお、敷金でリフォーム工事をすることはできませんが、その原状回復工事を全くしなくていいかというとそうではありません。

一般常識として、入居者は退去時にクリーニングをして部屋を返す必要があります。

 

詳細ついては、国土交通省原状回復に関するガイドラインがあり、①経年劣化で補修する部分は大家の負担、②入居者の故意過失で破損した部分については、その一部が入居者の負担となる旨が書かれております。

ガイドラインの詳細

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/honbun2.pdf

 

それを踏まえて、賃貸借契約の契約条件の中に退去時のクリーニング代や内装補修の取り決めをするケースが増えています。

 

これについては、改正民法で禁止されているわけではありませんので、入居者に不利なものでなければ契約自体は有効です。

 

なので、新規契約の際は、国土交通省ガイドラインをベースにした特約に加えて、クロスの張替えの単価などもあらかじめ決めておくことで、修繕の見積価格を巡るトラブルを防止することができるでしょう。

 

 

 

以上です。

 

☆☆まとめ☆☆

入居者と大家は、改正民法(敷金)の趣旨を踏まえて国土交通省ガイドラインをベースに管理業務をしてくれる不動産業者を「信頼できる業者」の指標にしていくことが大切です。

悪徳不動産業者にカモにされて経済的損失を被らないようにしましょう。