不動産投資~目先の節税や利益にとらわれるな!

おはようございます。大スケです。

先日、税金に関わる新たな政策の方向性を定める来年の税制改正大綱が発表されましたね。

不動産投資関連で大きな変化の一つは、海外不動産投資による所得税の節税策の封じ込めです!!

『大きく節税ができます』『税金が取り戻せます』
そんな触れ込みに目を引かれて不動産投資を始める例も後を絶たないのが現状です。
そういった不動産投資は最初から、赤字を出すことを前提としています。


結論からいえば、赤字を目的とした不動産投資は問題があります!

(過去記事【「ローンを組むと節税になる」は大きな間違い!】参照)https://blog.hatena.ne.jp/koumuin-sisanka/koumuin-sisanka.hatenablog.jp/edit?entry=26006613450023700

 

今回は、不動産投資における所得税の節税でカギを握る「減価償却」と「損益通算」の仕組みをわかりやすく説明し、不動産投資の目指すべき姿を改めて考えていきたいと思います。

 

まずは、所得税の節税効果を生み出す「減価償却」のしくみと2つのポイントを解説します。


減価償却とは、購入した不動産の建物部分をその耐用年数にわたって、毎年経費として計上していくというものです。
経年劣化により、価値が減った分を特定の計算式で算出して、経費として計上するイメージです。
なお、土地部分については経済的な劣化はないという前提があるので、減価償却をすることはありません。


そして、この減価償却のポイントは、

①実際にはお金の支出がなく、あくまでも会計上の費用だという点です。これが、「帳簿上の赤字」を作るカギとなります。


また、もう一つのポイントは、

減価償却費を計算する際の基準となる「耐用年数」と実際の建物の利用可能年数は異なるということです。

 

これまで行われてきた海外不動産投資による節税は、この2つのポイントを利用した仕組みでした。

 

具体例を挙げると・・・・
まず、米国や英国で中古物件を購入します。
日本と海外の住宅における資産価値の考え方の違いから、同じ築年の物件を買っても、海外不動産は購入金額に占める土地と建物の比率で、建物部分の割合が大きいことがあります。


建物割合が大きければ、帳簿上の経費となる減価償却費の金額も大きくなります。


そして、海外の不動産でも税務上は日本の耐用年数ルールが適用されます。
細かなルールにはここでは触れませんが、結果として最短なら4年程度で、建物部分の減価償却を完了、つまり帳簿上の価値をゼロにさせることができます。


仮に建物の評価額が2000万円であれば、毎年500万円もの経費を計上できるのです。
その4年間は、家賃収入をはるかに超える金額の赤字を計上できるので、これを節税に用いるのです。

 

ここで関係するのが、確定申告です!
不動産投資を行っている人は「損益通算」を使うことができます。


確定申告では、不動産投資から得た所得と、給与所得を合計した金額から、納税すべき額を算出し、申告、納税をします。
一方の所得が黒字で、一方の所得が赤字なら、差し引き計算した額を合計所得額として申告します。これが損益通算です。


たとえば、給与所得が1000万円だとしても、海外に投資した不動産の所得が大幅に赤字でマイナス500万円なら、合算で500万円となり、全体の所得額が減ります。
すると、給与から源泉徴収されている税金が「払いすぎだった」ことになって、いわゆる還付を受けられるのです。


将来の売却関連の損失を差し引いても、手元にまとまった金額が戻ってくることから、富裕層や高所得のサラリーマン層を中心に支持を集めていました。

 

しかし!!!

今回の税制改正大綱で待ったがかかったのが、このやり方です。
具体的には、2022年3月に申告期限がやってくる2021年分の申告から適用される見込みです。
『国外不動産所得の損失がある場合、損失のうち減価償却費に相当する金額はなかったものとみなす』
 
つまり、海外不動産投資による赤字のうち、減価償却相当額は認められないことになります。
赤字のもとになっていた多額の減価償却が認められなければ、節税はできないでしょう。

 

こうした所得税の節税に関する規制は、今回だけではなく過去にも行われてきました。
それだけ、節税に関心がある人が後を絶たないということでしょう。


しかし、そもそも赤字を前提として、所得税の節税目的の不動産投資を行うこと自体が間違っています。
不動投資の目的は、長期的・安定的に家賃収入を得ることにあります!!!


減価償却費をいくら出せるかで物件を選ぶのではなく、将来にわたって安定した家賃収入を得られるかどうかで物件を選ぶべきです。
そうしなければ、いまはキャッシュフローがプラスで回っていたとしても、将来、空室が長期化したり、設備の交換や修繕が発生すると、途端に不動産経営も苦しくなります。


目先の節税や利益にとらわれるのではなく、20年、30年という先まで見据えた不動産投資を行うことをおすすめします!

 

まずは、セミナーで情報収集!