【サラリーマン大家は必見】マンションの価値を維持する大規模修繕工事の考え方と目安について

「所有するマンションで大規模修繕工事を計画しているが、本当に今やる必要があるのか?」
「資産を守るために修繕工事は必要だ!!・・・しかし、計画通りに実施するとお金が足りなくなる.・・・・」

 

このような疑問、ジレンマを抱えているオーナーさんは多いと思います。

現在、僕は東京都北区にあるマンション管理組合の理事を務めております(正式には無茶ぶりされて選任されました・・・笑)。
毎年開催される総会では、将来の大規模修繕工事を踏まえた修繕積立金の取り扱い等について話し合われます。
管理会社の担当者からよく言われるのが、「分譲当初の長期修繕計画に基づいた工事で、修繕積立金の不足額は金融機関からの借入で賄う予定」というです。

 

もちろん、大規模修繕工事を適切な時期に行うことは、資産価値を維持するためには欠かせません。
しかし、修繕積立金として使えるお金は限られています。
だからといって、金融機関からの借入を利用すると、将来的にオーナー全員がお金を出しあって返済する必要があります。それは、毎月の負担増による収益性の悪化を招くことを意味します。


そこで、今回は①大規模修繕工事に対する考え方、②工事周期の目安について、僕の経験を踏まえて解説したいと思います。


 

目 次

 大規模修繕工事に対する考え方について

マンションの大規模修繕工事は、長期修繕計画に基づいて実施されることが一般的です。
長期修繕計画には、(1)工事内容、(2)実施時期、(3)予算が含まれており、この計画を踏まえて修繕積立金の金額が決まっています。


ここで大切なのは、必ずしも計画通りに大規模修繕工事を行う必要はないことです。
計画はあくまで目安であり、建物の状態を踏まえて適切な時期に、必要な工事を行っていくことが現実路線です。


『計画通りに修繕しなくても大丈夫なの?』
と不安を覚える方もいらっしゃるかもしれませんが、そもそも、建物は計画通りに老朽化していくわけではありません。


気候や周辺環境、日々のメンテナンス状況によって差が生じます。
そこで、工事を行う前に現時点での建物の劣化状況を診断することが大切になります。
診断結果に応じて、今すぐ実施する必要がないと思われる工事は、数年後にまわすという選択肢が取れるようになります。
修繕積立金という限られた予算を有効に使いながら、資産価値を維持することが可能になるわけです。


工事周期の目安について

実際のところ、長期修繕計画通りに工事を行うことは難しいのが実情であります。
計画通りの工事が難しい理由は大きく2つあります。


一つ目は、工事費用の上昇です。
建設業界の人手不足や資材価格の高騰、消費増税などで、工事の原価が上昇しています。


二つ目は、修繕積立金の不足です。
状況に応じて長期修繕計画を見直し、毎月の修繕積立金額を増額できれば理想ですが、それができているマンションはごく少数です。
僕自身、工事を計画通りに行うことだけを理由に修繕積立金をむやみに増額されることには反対です。

 

「まずは本当に必要な工事を確認しましょう。ひょっとしたら積立金の範囲内でできるかもしれません。」

 

僕はこのように「劣化状況の診断から始める方法」を過去の総会で提案しました。
その後、マンション管理組合から専門家に依頼して、劣化状況の診断を行いました。
診断結果をもとに修繕計画を見直し、今すぐ必要な箇所のみ工事を行うことにしたのです。
その結果、修繕積立金の範囲内で工事費を賄うことができるようになりました。

 

このように建物や設備の状況に応じて、工事の必要性を見極めていくことは非常に大切です。ただし、いずれは大規模修繕工事を実施する時期はやってきます。
国土交通省では、竣工から12年ごとの大規模修繕を推奨していますが、工事箇所によって修繕が必要になる時期は以下のとおり異なっています。

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大規模修繕工事の計画や日々の維持管理については、それぞれのマンションの管理組合で話し合われます。
そして、管理組合に参加して、工事計画に意見を表明できるのは、区分所有者であるオーナー自身です。
まずは、管理組合運営に関心を持って積極的に参加することが大切なマンションの資産価値を守るための第一歩です。

★★参考記事★★

koumuin-sisanka.hatenablog.jp